ページの先頭です

ページ内を移動するためのリンク
本文へ (c)

ここから本文です。

がんについて知りたい子どもたちへ

中学生・高校生のみなさんへ

親ががんになったとき、知っておいてほしいこと

はじめに

このページでは、がんについての正しい知識を伝えることで、あなたの疑問や不安を少しでも減らしたいと考えています。
病気について知ることを怖いと感じるかもしれませんが、人はわからないことに、より多くの不安を感じてしまうようです。

正しい知識を得て、漠然とした不安を具体的な不安にすることによって、これからのことを考えることができますし、疑問や不安に感じることをまとめて家族や親戚の人、医師や看護師に尋ねることもできます。

はじめに

日本人とがん

日本人は生まれてから死ぬまでの間に、2人に1人が何かの種類のがんにかかると言われています。がんはわたしたちにとって、特別な病気ではなくなってきました。
また、ここ何年かの間にがん治療は大きく進歩し、がんと診断されても半数以上の人は、長く生きることができるようになりました。

でもがんという言葉を聞いたことがあっても、実際にどのような病気でどんな治療をするのか、自分たち家族はこれからどうなるのかなどの、沢山の疑問や不安を感じているのではないでしょうか。

親ががんと知ったとき

親ががんになったと知ると、子どもも大人も様々なことを考え悩むものです。
たとえば、

  • がんになったのは、自分のせいではないかと考えて自分を責める。
  • がんがあなたに、うつるのではないかと怖くなる。
  • 将来あなたも、がんになるかもしれないと不安になる。
  • 親の現在の体調や、今後どのような治療をするのかが気になる。
  • がんと聞いて、死んでしまうのではと寂しくになる。
  • 親の詳しい病状を教えてもらえないので不満を感じる。
親ががんと知ったとき

親ががんにかかったのは、誰のせいでもありません。
あなたが以前に心配をかけたり、迷惑をかけたことがストレスだったとしても、それはがんの原因ではありません。

また親の体調なども心配ですが、あなた自身の生活や将来についても様々な不安を感じているのではないでしょうか。

  • 家のこと(食事の用意・掃除・洗濯等)は、誰がするか心配になる。
  • 自分は今までどおり学校に通えるのか、進学できるのか不安になる。
  • 友達と遊びに行ってもいいのか、部活は続けてもいいのかと考える。
  • 病気のことを忘れて、今までのように過ごしたいと思う。
  • 気をつかって、無理に明るく振る舞ってしまう。
  • どのように接したらよいかわからず、戸惑いを感じる。

あなたは今、これからの自立に向けて準備をしている年代です。
ですから家族だけでなく、自分の生活や友達との時間を大切にしたり、将来について考えたりしているのは、とても自然なことなのです。

あなたの心とからだへの影響

家族ががんになったと知り、あなたのこころと体の調子にも変化があるかもしれません。
たとえば、

  • 食欲がなくなる。
  • 夜に眠れない。寝つきが悪い、眠りが浅いなど。
  • 物事に集中できない、なぜかぼんやりしていることが多いなど
  • ささいな事にイライラしてしまう、すぐに怒る、物にあたるなど。
  • 急に涙が出てくる、孤独な気持ちが強いなど。
はじめに

このような状態が長続く場合は、誰か周りの人に相談してみてください。心や体がつらいときに、周りの人に相談することは全く恥ずかしいことではありませんし、他人に相談する人は弱い人間でもありません。

ご両親や親戚などの身近な大人、学校の先生や保健室の先生、通院先の医師や看護師など、あなたの話を聞いて力になりたいと考えている人が、沢山いることを忘れないでください。

あなたが家族にできること

親は、今までどおりの家事や子どものお世話ができないことを申し訳なく思い、罪悪感を感じると言われています。きっと、あなたには今までどおりの生活を、送って欲しいと願っていることでしょう。

無理に自分の生活を変える必要はありませんが、がんになった親のことが気なりどうすればよいか考えているなら、次のように接してみるのはいかがでしょうか。

  • 親と一緒に過ごす。(無理に話さなくても、一緒にいるだけでもよいと思います。)
  • 話をするのが照れくさい場合は、手紙や交換ノートに気持ちを書くこともできます。
  • 親が休んでいるときはそっとして、休ませてあげましょう。
  • 「○○しようか」「大丈夫?」「いつでも手伝うから言ってね」など、手伝いができることを伝えてみましょう。
  • 家の手伝いや、自分でできること(自分の部屋の掃除、洗濯物をたたむ、ごみ捨てなど)をしましょう。
あなたが家族にできること

家族の誰かががんになるということは、とても大きなできごとです。
しかしそんな時だからこそ、みんなが協力し合うことが大切です。
また一方であなたやあなたの家族が、可能なかぎり今までどおりの生活をするのも大切です。

家族のかたちや人の気持ちはそれぞれ違いますが、周りの大人はあなたの気持ちを知りたいと思っています。あなたの正直な気持ちや悩みを伝えてみてください。

悩みを伝える

がんという病気について知ろう

がんという病気

私たちの体は、約60兆個の細胞からできています。
細胞の一部は毎日更新されていますが、正常な細胞の遺伝子に傷がついた異常な細胞が発生することがあります。これをがん細胞といいます。

がん細胞は健康な体にも発生しますが、通常は体に備わった免疫が働いてがん細胞を死滅させます。この免疫の効果が得られずにがん細胞が無限に増えて、かたまりになったものをがんといいます。

また、がんの周囲にある血管やリンパ管にがん細胞が入り込んで、体内の他の内臓や骨に移動して、移動した場所でがん細胞が増えることを転移と呼びます。
しかしがんという病気自体は、人から人に感染することはありません。つまりあなたの親のがんは、あなたに直接うつることはありません。

細胞

また、がんの周囲にある血管やリンパ管にがん細胞が入り込んで、体内の他の内臓や骨に移動して、移動した場所でがん細胞が増えることを転移と呼びます。
しかしがんという病気自体は、人から人に感染することはありません。つまりあなたの親のがんは、あなたに直接うつることはありません。

がん細胞

がんの種類

がんは体内の全ての臓器にできる可能性があり、一般的にそのがんが最初に発生した部分により、胃がん・肺がん・乳がんのような名前が決まります。また白血病やリンパ腫などもがんの一種です。
がんはその種類や発見時の状態により、治療しやすかったり難しかったり、又は発見がしにくいなどの特徴があります。それぞれのがんについて、詳しい情報は国立がん研究センターがん情報サービスのホームページを参考にしてください。

がんの治療方法と緩和ケア

がんは手術療法・放射線療法・薬物療法の3つの治療法を中心に、がんの種類や進行度などから1つの治療方法を単独で、または複数を組み合わせて治療します。
これらの治療と同時に、治療の副作用やこころとからだのつらさを和らげるために、緩和ケアを行います。

がんを手術で切除する方法です。切除範囲を小さくしたり手術方法を工夫することで、患者さんの負担を減らし術後の回復も早くなることがあります。

  • がんの種類や進行度により入院期間は様々ですが、以前より短期間(1~2週間程度)になっています。
  • 退院後もしばらくは自宅での療養が必要となります。

放射線をがんに照射して、がん細胞が増えることを抑える方法です。放射線療法は、手術療法のように体を傷つけずにがんを小さくする効果が期待できますが、放射線はがんの種類によって、効きやすさや治りやすさが大きく異なります。また主な副作用も、放射線を照射する部分により異なります。

  • 放射線療法の主な副作用は、照射した部分の日焼け、疲れやすくなる、食欲がなくなるなどがあります。

抗がん剤などの薬剤を使用して、注射や点滴、飲み薬で通院しながら治療します。以前は、抗がん剤を使用する治療として化学療法と言われましたが、最近は抗がん剤以外の選択肢が増えたため、薬物療法とも言うようになりました。

化学療法

  • 抗がん剤...がん細胞を死滅させる薬剤ですが、強い薬のため正常な細胞にも様々な影響があります。
    〔主な副作用は吐き気や食欲低下、体がだるく感じる、体の抵抗力が落ちる(発熱、風邪をひきやすくなる)、手足のしびれなど〕
  • 分子標的薬...がん細胞が増える原因となる、分子の働きを妨げる薬剤です。
    〔主な副作用は皮膚の湿疹、下痢、息切れ、血圧が高くなるなど〕

ホルモン療法

ホルモンの分泌を抑えることで、がん細胞を縮小させる治療です。

  • 女性ホルモンと男性ホルモンの影響で増えるがん(乳がん・卵巣がん・子宮がん・前立腺がん)が対象です。
    〔主な副作用...ほてり・めまい、骨がもろくなる、血管がつまりやすくなるなど〕

免疫療法

血液中の免疫細胞は、外部から進入したウイルスやがん細胞などを攻撃しますが、免疫が過剰に働くと正常な細胞も攻撃するため、免疫を調整するブレーキの機能があります。
がん細胞はこの機能を利用して、免疫にブレーキをかけ免疫細胞の攻撃を避けどんどん増殖することがわかってきました。

  • 免疫療法では、薬でブレーキの機能を解除し本来の免疫細胞の攻撃を取り戻すことで、がん細胞を縮小させます。
    〔主な副作用は体のだるさ・息切れ、疲れやすい、腹痛を伴う下痢、のどが渇く、尿が多くなる、むくみが強いなど〕

※免疫療法をインターネット検索すると、効果が正確に証明されていない治療方法もでてきますので、間違えないようにしましょう。

緩和ケアとは、「病気に伴う心と体のつらさを和らげること」です。緩和ケアはがんが治らない状態になってから始めるのではなく、がんがみつかった時から、気持ちのつらさを和らげることや、一番よい治療方法を相談することから始まります。

  • 治療を続ける中で、がん自体や薬の副作用による体の痛み(身体的な苦痛)や気持ちのつらさ(精神的な苦痛)を和らげる方法を、主治医・看護師・薬剤師・ソーシャルワーカー(社会福祉士)・理学療養士・管理栄養師などの様々な医療者がチームを組み、患者さんと家族をサポートをしていきます。
  • 家族のこと・お金のこと・子どもとの生活のことなどの心配事(社会的な苦痛)や、「なぜ自分だけこんな病気になったのだろう」「家族に迷惑を掛けたくない」というような悩み(専門的にはスピリチュアルペインと言います)を、相談することもできます。

痛みやつらさはがまんする患者さんや家族の人が多いですが、医療者に相談することで何か解決方法が見つかるかもしれません。

  • がまんすると周りの人は気付かないことも多いので、誰かに相談することも大切です。
  • 患者さんだけでなく、その家族も様々な心配事や悩みを持つことがありますから、家族の不安や心配事の相談、援助も緩和ケアには含まれます。
患者さん、ご家族

がんに関する情報を得るには

インターネット検索すると、がんについて様々な情報が出てきますが、その中には個人の感想や状況を掲載したブログ、誇大広告のような情報も含まれています。

がんに関する情報を得るには

人には個性があるように、病気の症状も人それぞれ違っています。一度家族と病院に行って、家族の病状を一番良く知る医師や看護師などと、話をしてみてください。

私たち専門家は、患者さんはもちろんあなたを含めた家族のサポートもしていきます。